記事: 京丹後の伝統ある老舗絨毯工場が最高品質を追究した唯一無二のオーダーラグコレクション「RÈI」

京丹後の伝統ある老舗絨毯工場が最高品質を追究した唯一無二のオーダーラグコレクション「RÈI」
空間に心地よく調和しながら、色気ともいうべき品格を静かに放つ一枚のラグ。
織物の産地として知られる京都・京丹後を生産背景に持つ、国内有数の老舗ラグメーカーである住江織物が、その歴史と技術を結集し最高品質を追究したオーダーラグコレクションが「RÈI」である。
従来のラグにはまず使われてこなかった上質で繊細なウールをふんだんに使用し、ハンドタフテッドと言われる熟練した職人の技術によって織り上げられる。
その気品によって空間の持つ力を底上げし、極上の質感で触れるものを魅了する唯一無二のラグはどのようにして生まれたのだろうか。

明治から140年続く老舗の経験と技術の結晶
RÈIを生み出した住江織物の歴史は、およそ140年前に始まる。1883年(明治16年)、創業者である村田伝七が、伝統的な手織り敷物「緞通」の製造を始めたことに端を発する。
以降、その高い技術力が評価され、帝国議会議事堂(旧議事堂)へのカーペット納入や国鉄での日本初の国産シート地の採用、帝国劇場への椅子張地の納入など、多くのナショナルクラスの仕事を担ってきた。近年では、名だたるメゾンブランドへの納入も実績として際立っている。
RÈIは、住江織物がこれまで積み上げてきた数々の経験と技術のアーカイヴを一から見直し、現代に合わせて再編集を行うことによって、つくりあげたオーダーラグコレクションだという。
常識を超えた製品
RÈIが従来のラグと一線を画す点がいくつかある。RÈIのラインナップの中でも最もハイエンドな「R2024」を例にとるとその差が浮かび上がってくる。
・天然素材
従来のラグにはまず使われてこなかった上質で繊細なメリノウールを採用。その中でも、R2024は極めて細い原毛を使用している。
・感触
一般的なウールのセーターなどを着たときにチクチクした感触があるが、R2024は細い原毛を使うことによって触れた時の、極上の感触を実現している。
・耐久性
目付というのはラグの密度を表す単位で、1平方メートルあたりに使用している糸の量を表している。一般的なラグの糸量が、1kg~1.5kgなのに対して、R2024では贅沢にも3.6kgとおよそ3倍の量の糸を使用している。
さらに配色へのこだわりである。RÈIが採用するのは、ハンドタフテッドという製法。基布と呼ばれる木枠にセットされた綿布に、フックガンという道具で糸を打ち込んでいく。R2024の場合は、フックガンに染め分けた糸を5色、計16本をセットし打ち込みを行う。
一見すると単一色のように思えるが、同系色の5色の糸を絶妙なバランスで組み合わせることによって、色合いや質感に深みを持たせている。一般的なラグメーカーではここまで染色にこだわることは難しいが、自社で染色工場を保有する同社だからこそ実現できた部分ではないだろうか。
自社工場で糸を染色する様子
「本質的にいいもの」を真摯に追究したものづくり
一般的な製品開発は、目安の販売価格が決まっており、その予算に合わせて、素材や目付量、製織方法などをパズルのように当てはめていくケースが多い。しかし、そのアプローチだと使うことのできる素材や製法に制限が生まれ、既存製品に近いものになってしまう可能性が高い。
そこで、RÈIは従来の考え方を根本的に見直し、あえて先に販売価格を考えず「本当にいいもの」をつくることだけを考えて製品開発を進めていったという。
開発工程の製品サンプル
最初に着手したのは、改めて自社の歴史や生産背景を再認識すること。日本で初めて絨毯の特許を取得した住江織物。その140年の歴史の中で積み上げられた経験と技術の中に、現代において輝きを放つ新たな製品のヒントがあるのではないか。
京都・京丹後の工場を訪れ、丹後地方のまちを改めて見つめ直し、これまで作ってきた製品のアーカイヴの中から現在の製品ラインナップの糸口を探っていった。目ぼしいアーカイヴを見つけては、織り方や糸色をこのように変えたらより良いものになるのではないか。仮説を立てては試作するという反復を何度も繰り返し、製品を一つずつ完成させていった。
京丹後と同じ丹後地方の伊根町の風景
RÈIのネーミングにはすべて年代がついているが、それはその製品のベースとなった製法が確立された年を表している。先人たちが積み上げてきた歴史をリスペクトしながら、現代に合わせて再編集を行い、次の世代へと繋いでいく。それがRÈIの根底に流れる価値観なのかもしれない。
余白のたしなみ。RÈIのコンセプトにあるように、ラグは必需品ではなく、嗜好品である。なくても成立するものを、わざわざ生活に取り入れる豊かさ。RÈIは先人たちの積み上げてきた伝統を継承していくために、今日も新しい価値観を提案する。